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【日本をリードする経営者・香丸俊幸の挑戦】福祉サービスを通し、顧客・社員・地域の幸せを追求する

SAMURAI CEO2025

クローバーグループ CEO
兼 株式会社CLOVER 代表取締役

香丸 俊幸

1972年5月1日、 東京の池袋で生まれ、世田谷祖師谷育ち。 桜修館(旧都立大学付属高校)、玉川大学卒業後、株式会社セブン−イレブン・ジャパン、株式会社ベンチャー・リンクを経て経営コンサルタントとして独立。IT企業や外食企業の役員などを歴任して2010年に株式会社CLOVERを創業。「人が幸せになるコミュニティつくり」をビジョンに地域密着型デイサービスや放課後等デイサービス、高齢者と障害児の共生型サービス、障害者シェアハウス、就労支援、介護人材紹介会社、飲食店を経営している。

「人が集まる幸せなコミュニティつくり」を目指して

株式会社CLOVERは「人が集まる幸せなコミュニティつくり」をビジョンに掲げ、福祉サービス事業を展開しています。中でも力点を置くのが、年中無休のデイサービス事業。グループ全体で、14事業所を運営中です(2024年11月時点)。都内の事業所は、あえて都心の家賃が高いエリアを選ぶことで他社との差別化を図ってきました。

デイサービス事業の売りの一つが、自立支援に力を入れている点です。従来の介護といえば、介助者が何でも手伝ってしまう「お世話型介護」が主流でした。一方私たちは、暮らしの中で役割を持っていただくことこそ元気に長生きする秘訣だと考えています。

例えば、ゲスト(利用者)に料理を手伝ってもらったり、お皿を拭くのをお願いしたり…。こうした日常的な生活動作を通し、身体機能の維持や向上をサポートします。

また、積極的に外出するのもデイサービスとしては珍しいかもしれません。他にも、企業とコラボした脳トレや音楽療法といったレクリエーション、地域を巻き込んだイベントなど、多彩な楽しみを提供できるよう工夫を凝らしています。お出かけ気分を味わってもらえるよう、おしゃれな内装にこだわっているのも強みですね。

ゲスト目線に立ったサービスを届けるためには、ご本人の背景にあるストーリーをよく理解する必要があります。だから、ゲストのプロフィールや利用目的などをヒアリングするアセスメントにはかなり力を入れています。基本的なことですが、なかなか満足に取り組めていない介護事業所は多いのではないでしょうか。

介護保険の支給額には要介護度によって上限があり、デイサービスは週3~4日の利用が目安です。でも、自費で負担してでも週7で通いたいと言ってくださる方も多いです。また、弊社のデイサービスに通うため、わざわざ遠方から都内に引っ越してきた方もいます。ゲストの幸せを考え抜いたサービスや、それを提供するキャストの努力の賜物ですね。

お泊りデイサービスは“最強”のビジネスモデル

私の実家では母が小料理屋を営んでおり、子どもの頃はよく手伝いをしていました。開店するとすぐに席が埋まる繁盛店で、地域のお客さんから愛されているんだと子どもながらに感じていましたね。そんな母の経営を間近で見てきた経験が、「人が集まる幸せなコミュニティつくり」というビジョンの原点にあります。

親戚にも経営者が多かったこともあり、起業という選択肢は幼少期から身近なものでした。大学卒業後は、経営カウンセリングの仕事ができる点に惹かれ、セブン-イレブン・ジャパンに入社。4年ほど経験を積んだ後、「起業家輩出機関」とも呼ばれるベンチャー・リンクに転職しました。

福祉業界に着目したのは、経営コンサルタントとして独立後、外食企業の役員を務めていた時です。介護事業に新規参入するためにリサーチを重ねる中で、年中無休で夜間ケアも可能な「お泊りデイサービス」に出合いました。

デイサービスには、自立支援と社会参加、そして家族の負担軽減という3つの目的があります。中でも家族の負担軽減という観点でいえば、土日や祝日も営業している方が利便性が高いですよね。また、短期間の宿泊ができるショートステイというサービスもありますが、2~3か月前から予約が必要な場合がほとんど。その点、お泊りデイサービスなら臨機応変に対応できます。

経営コンサルタントとしての経験から、新しい事業を始める上で大切なのは、社会性と収益性、そしてタイミングだと考えています。特別養護老人ホームの待機人口が50万人といわれる中、お泊りデイサービスはまさしく三拍子そろったビジネスモデルだったんです。「これはいける」と確信し、起業に乗り出しました。

実際に1か所目の事業所をオープンするとすぐにキャンセル待ちになり、自信の裏付けになりました。弊社では夜間ケアがない事業所も展開していますが、お泊まりデイサービスが最強のモデルという確信は今でも揺らいでいません。

福祉を軸に、地方で生み出す新たな可能性

2024年現在、グループ全体の年商は10億円ほど。今後は都心でさらにデイサービスを増やし、2032年までに年商を30億円に伸ばすという具体的な目標を掲げています。事業所は50か所ほどまで拡大したいですね。ゆくゆくは上場を狙える規模を目指します。

高齢者向けデイサービスの他には、障害児を支援する放課後等デイサービスや、障害者の就労支援などの事業があります。群馬県高崎市では、障害者の自立生活をサポートするグループホームを4か所運営。また、介護の人材紹介や飲食事業にも着手しています。

創業から10年以上が経った今、力を入れていきたいのが、福祉を軸とした地方創生です。都内で磨いてきたサービスを全国展開するとともに、「福祉×農業」「福祉×IT」など、地方だからこそできる新しいサービスを生み出していきたいと考えています。

例えば長野県安曇野市に、デイサービスと移住希望者向けシェアハウスの一体型施設をオープンしました。畑や田んぼを買って、完全無農薬の米や野菜づくりにも挑戦しています。収穫した作物は、東京のデイサービスで売ることもあるんですよ。現在はボランティア中心に作業していますが、いずれはゲストや地域の障害者などが働ける場にしていきたいです。

この他にも東北地方などで、自治体と手を組んだプロジェクトの構想も練り始めました。福祉を中心に、さまざまな事業を組み合わせることによって、持続可能なまちづくりへの貢献を目指します。

弊社の事業を通して、「日本を変える」というのは少しおこがましいかもしれません。自分たちが良いと思うことに地道に取り組み、巡り巡って社会に良い影響を与えるのが理想形です。例えば、きつい仕事という介護のイメージを払拭したり、認知症への理解を広めたりすることにつながればうれしいですね。

失敗を経験の糧に。挑戦を後押しする社風が魅力

弊社が大切にしている価値観は「美点凝視」です。相手の長所を見つけて伸ばし、できないところはフォローすること。そして、相手に対してリスペクトと感謝の念を持つこと。チームワークが命のサービス業では欠かせない考え方です。

私は弊社の魅力を問われると、まず「人」だと答えています。採用基準は、相手の幸せを自分の喜びにできる「利他的な人(ギバー)」かどうか。事業所の雰囲気の良さはもちろん、問い合わせへの対応の早さ、ゲストの相談に耳を傾ける親身な姿勢など、さまざまな点で強みが発揮されています。

弊社で輝いている人材の共通点は、第一に勉強熱心なことです。積極的に外部のセミナーに参加するなど、単に資格を取るだけにとどまらず、知識とスキルを自ら磨いていける人材が活躍しています。中には、人気のある介護施設に体験入社したキャストもいるんですよ。そして、第二に素直でポジティブなことです。どの職場でも共通していえることですが、やはり何事にも一生懸命な人はゲストからも好かれますね。

柔軟でチャレンジしやすい社風も弊社の魅力です。キャストの半数は、入社して3か月以内に事業所でのイベントの企画を経験しています。自由に挑戦してみたい人にはうってつけの環境ですよ。また、他の介護事業所だと昇進に10年以上かかる例が多いそうですが、弊社では入社2年目で管理者に抜擢されたキャストも。やる気次第でどんどんキャリアアップできる体制が整っています。

私は、チャレンジして失敗した経験があればあるほど、最終的には自分の知識やスキルとなって実を結ぶと信じています。私自身、小さいことを含めるとたくさんの失敗を重ねてきました。20~30代の若い頃は、失敗しても許されるもの。ぜひどんどん失敗し、経験を積んでください。そんなあなたと一緒に働けるのを楽しみにしています。