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【日本をリードする経営者・守岡一平の挑戦】若者と企業をつなぐ、革新的キャリアプラットフォームの挑戦

SAMURAI CEO2025

株式会社shabell
代表取締役

守岡 一平

和歌山県出身、明治大学商学部商学科卒業。2006年、株式会社ホリプロに入社し、タレントマネジメント業務に従事。2008年、株式会社マイナビに中途入社し、新卒採用のコンサルティングに営業職として従事する。500社以上の新規開拓を行い、当時最年少で営業部長に就任。その後、マイナビの独立支援制度の第一号として2016年、DiG株式会社設立。2021年7月、株式会社shabellに社名変更。しゃべるだけでポートフォリオが作れるサービス「しゃべりお」をリリースし、メディアや業界、投資家から多くの注目を集めている。

若者の悩みに寄り添い、新しい採用市場の価値を創造する

「自分に合った会社がわからない」「やりたいことが見つからない」―。これは、多くの就活生が抱える悩みです。特に第二新卒の方々にとって、限られた職務経験をどのように次のキャリアにつなげていけばよいのか、その答えを見つけることは決して簡単ではありません。

私たちの提供する「しゃべりお」は、そんな若者たちの悩みに向き合い、一人ひとりの可能性を最大限に引き出すためのサービスです。キャリアコンサルタントと”しゃべるだけ”で、自分の強みや可能性が言語化され、充実したポートフォリオを作成できる、それが「しゃべりお」の最大の特徴です。しかし、このサービスが今の形になるまでには、さまざまな気づきと試行錯誤がありました。

弊社はもともと「shabell」というサービスを展開していました。これは、自分のなりたい仕事のプロに直接話を聞くことができるサービスです。しかし、実際に運営してみると、市場が求めているものは少し違うことに気がついたのです。

利用者の大半は、特定の職種や仕事の相談というよりも、自分のキャリア全体について相談したいというニーズを持っていました。特に新卒採用市場において、学生は職種で企業を選ぶわけではなく、「どの会社が自分に合っているのか」という、根本的な問いに向き合っている方が多かった印象です。就職活動において、企業選びの基準は人それぞれ。しかし、多くの学生が本当に知りたいのは、その会社で自分が活躍できるのか、成長できるのか、という点でした。

さらには、「初めての人に将来の夢を語る」ことへの心理的なハードルの高さも明らかになりました。そこで、誰にでも気軽に相談できる環境、かつ専門的な知見に基づいたアドバイスを得られる場が必要だと感じました。このような気づきから、私たちはサービスの方向性を見直し、現在の「しゃべりお」へと進化させたのです。この転換は、まさにユーザーの声に真摯に耳を傾けた結果でした。

プロフェッショナルな目線で、若者の可能性を引き出す

「しゃべりお」の最大の特徴は、キャリアコンサルタントとの対話を通じて、その人の持つ可能性を引き出すことです。ただし、私たちがキャリアコンサルタントとして起用するのは、単なる資格保有者ではありません。大手人材会社の出身者など、企業の採用事情に精通した人材を厳選しています。

なぜなら、キャリアコンサルタントの資格は自宅で学習して取得できますが、それだけでは企業側のニーズや現実的なキャリアパスを理解することは不可能だからです。実際、社会経験の浅いキャリアコンサルタントが、求職者に非現実的なアドバイスをしてしまうケースも見てきました。そのため、私たちは採用市場を熟知した人材だけを、厳格な基準で選考しています。

「しゃべりお」の相談では、過去の経験を丁寧に掘り下げていきます。その過程で、本人も気づいていなかった可能性が見えてくることも少なくありません。「やりたいことがない」という悩みに対しても、就活は必ずしもやりたいことで決めるものではないと伝えています。むしろ、自分の「できること」や「求められていること」から選んでいくことで、より現実的なキャリア選択ができるのではないでしょうか。

また、従来の職務経歴書は「対前年比〇〇%達成」「チーム内営業成績〇位」といった数値実績を記載するフォーマットが一般的ですが、キャリアが浅い段階では、そのような形での自己アピールは困難です。そこで私たちは、プロフェッショナルな目線で一人ひとりが持つ可能性を見出し、それを魅力的なポートフォリオとして言語化していく。そんな新しいアプローチを実現しています。

このように、私たちは「資格を持っているから」ではなく、「企業の採用をよく理解している」プロフェッショナルだからこそできる、質の高いキャリアサポートにこだわり続けています。

就活のあり方を変革する、人とテクノロジーの調和

現在、就職活動の在り方は大きく変わろうとしています。まもなく現在の就活スケジュールは撤廃され、全学年での就活が可能になります。これはまさに、アメリカのような通年採用に近づいていく流れであり、私たちはこの変化を先取りする形でサービスを展開しています。

具体的には、1年生から企業と接点を持てるイベントの開催です。このイベントは従来の合同説明会とは一線を画し、学生たちが実際にワークに取り組み、その過程で自己理解を深め、企業からの評価を直接受けることができます。また、このイベントを通して作成するポートフォリオは、将来の転職時にも活用できるものであり、いわば一人ひとりのキャリアを通じた成長の記録となっていきます。

キャリア形成支援の重要性が高まる中、私たちは技術革新にも積極的に取り組んでいます。その一環として人工知能(AI)の導入を進めていますが、これは決して人間のキャリアコンサルタントを置き換えるものではありません。私たちは、採用市場において人の感情や価値観を理解する部分は約7割がアナログ、つまり人間による対応が必要だと考えています。実際、一人のクライアントに対する捉え方は、担当者10人いれば10通りあり、その多様な視点から生まれるアイデアこそが価値を生み出しています。

そのため、AI導入は面談内容の言語化や表情、声のトーン、反応の分析など、人間のコンサルタントをサポートする領域に限定しています。将来的には、複数回の面談データからその人の適性やキャリアの可能性をより精緻に分析できる仕組みを目指していますが、最終的な判断や助言は必ず人間のプロフェッショナルが行う。それが私たちの変わらない信念です。

社会に認められる価値を創造し、日本の採用を変える

弊社は2028年の上場を目指していますが、これは単なる資金調達の手段としてではありません。目指すのは、「新しい採用市場の価値基準の創造」です。株式会社として上場することで、株主という形で社会との繋がりが生まれ、また株価を通じて企業価値が可視化されます。「しゃべりお」というプラットフォームの価値が社会に認められることで、より多くの若者たちのキャリア形成をサポートできると信じています。

こうした大きな目標の実現に向けて、私たちは組織としても成長を止めることはできません。企業の重要な意思決定については、財務、営業、人事など、それぞれの専門分野を持つ4名の役員で慎重に議論を重ねています。私一人の判断ではなく、複数の目線で物事を見ることで、より確かな成長への道筋を描いているのです。

「新しい価値基準を創造し、すべての”らしさ”を体現できる社会を築く」という私たちの企業理念は、社会全体を巻き込んでこそ実現できるものです。

その一環として、人材紹介会社さんにも「しゃべりお」で作成されたポートフォリオを開放し、企業からスカウトがとどくような仕組みを構築しています。

人材紹介会社さんのキャリアコンサルタントという中立的な専門家と話しながらしゃべりおでポートフォリオを作成することにより、従来の職務経歴書では表現できない、その人の本質的な価値が表現されると感じています。

最後に、就職活動を控える学生の皆さんへメッセージを送らせていただきます。自分の可能性は、まだ見ぬ宝石のようなものです。それを磨き出すには、時に専門家の目線が必要です。これからの就職活動では、早い段階からキャリアについて考え、プロフェッショナルに相談する文化が当たり前になっていくでしょう。ぜひ私たちと一緒に、自分らしいキャリアを見つけていきましょう。