株式会社USTUS
代表取締役CEO
1989年生まれ。宮城県石巻市出身。東日本大震災で地元が被災したのをきっかけに、生き残った人間としての使命感や社会貢献への熱意を抱く。大学卒業後はベンチャーに就職後、2018年に独立して株式会社USTUSを創業。食事を通して寄付ができる「BURGERS TOKYO」の運営の他、ドネーションプラットフォーム「OSUSO」を提供するなど、「おすそわけ」をコンセプトとした社会貢献の日常化に尽力している。
私たち日本人が育んできた思いやりの文化「おすそわけ」。
一人ひとりがお互いを気遣い、支え合うことで生まれるおすそわけのパワーには、社会課題を解決に導く大きな可能性があります。
弊社では、そんな「おすそわけ」のポテンシャルを最大化していくため、2023年にドネーションプラットフォーム「OSUSO」の事業を開始しました。
大きな災害が起きた時に寄付をしたことがある人は多いと思います。ところが、それを日常的に続けていくのは簡単なことではありません。
また、災害の他にも貧困や環境問題などさまざまな社会課題がありますが、それを日ごろから意識する機会は少ないのが現状です。
そんな課題があるからこそ、OSUSOではみんながもっと自然に、もっと日常的に、寄付や社会貢献活動に参加できる環境を実装したいという思いのもと、サービスを展開しています。
みなさんは、「3.5%ルール」という言葉をご存じでしょうか?
これは簡単に言うと、3.5%の人々が行動を起こすことで社会変革が起こるという考え方です。
OSUSOでは、2030年までに日本の人口の3.5%に当たる約430万人が何らかのソーシャルアクションに参加していることを、ファーストゴールとして位置づけています。
その実現に向けて、現在は2方向からのアプローチを進めています。
1つ目は、大企業のソリューションを活用した寄付の日常化です。例えば、株式会社NTTドコモと連携し、スマホ決済サービスの「d払い®」を活用したキャッシュレス募金のプロジェクトに取り組んでいます。
一方で、大企業を動かすプロジェクトは多くの時間を要するため、成果が出るまでは長期スパンで考えていかなければなりません。
そこで現在、特に注力しているのが、2つ目のアプローチであるNPO団体の伴走支援です。
日本全国には、非営利で社会貢献活動に取り組むNPO団体が5万ほどあるとされています。
しかし、毎年1億円規模の寄付を確保できている団体は、そのうちの206団体しかありません。
NPOは理念も活動内容も素晴らしい団体が多いのですが、活動を継続していくための資金調達が高いハードルとなっている現状があるのです。
そこで私たちは、NPO団体にとって活動の根幹となるファンドレイジング(寄付集め)への支援事業に乗り出しました。
これは、法人寄付に特化したファンドレイジングのノウハウや仕組みをセットで提供するサービスです。ざっくり説明すると、NPO団体のプロデュースですね。
活動内容をもとにその団体をブランディングし、クラウドファンディングのようなイメージで、毎月の寄付額に応じて恩返しをする支援パッケージを作り、支援者とマッチングしていきます。
支援者とのマッチングという点では、中小企業の経営者に特化しているのが大きな特徴です。
先ほど説明した大企業との連携プロジェクトでは、一般の個人が日常的に寄付ができる環境を長期スパンで整備することを目的としていました。
それと同時に、NPOのファンドレイジング支援によって中小企業の経営者がおすそわけを実践する環境を作ることで、より短期的なインパクトを得るのが狙いです。
この他、寄付が増えると煩雑になる管理業務などをシステムで効率化し、事務局の運営もサポートしています。
さらに、支援者の熱が冷めないようなコミュニティの企画設計まで、一気通貫で完結できるのがこのサービスの強みですね。
現在では、教育分野から環境分野まで、さまざまな分野のNPOを10団体ほどプロデュースしています。
ファンドレイジング支援においては、年間1億円規模で活動できる団体を、5年間で100団体増やすのが当面の目標です。
私にとっての大きな転換点が、2011年の東日本大震災です。あの日、私の地元である宮城県石巻市の雄勝町は津波に巻き込まれ、甚大な被害に見舞われました。
当時私は関東の大学に通っていたため、難を逃れました。しかし、生まれ育った故郷や身近な人々を1日で失う経験を通し、自分が生かされたのは何か役割があるからではないかと考えるようになったのです。
震災後は私も地元に駆け付けたのですが、自衛隊の救援がなかなか来られない中でも、人々が物資を持ち寄って支え合う姿が深く心に刻まれました。この時に日本人のおすそわけ精神を目の当たりにしたことが、現在の事業のルーツとなっています。
大学卒業後は、社会課題の解決に取り組むベンチャーに入社し、「URBAN GREEN MAKERS」というブランドを立ち上げました。
これは、テラリウムのキットを1つ購入するごとに1本の苗木が植林されるなど、植物を手軽に楽しみながら社会貢献にもつながるという事業です。
2018年には独立し、株式会社USTUSを創業。社会貢献をさらに身近にしていく次のステップとして、食に着目した「BURGERS TOKYO」という店舗を東京・下北沢にオープンしました。
BURGERS TOKYOでは、ハンバーガー1個につき、3種類の支援先から1つ選んで寄付ができます。
支援先ごとに寄付コインの投入コーナーを作り、お客さま自身でコインを入れる仕組みにしました。寄付活動が可視化されたことで、お客さまがその様子をSNSにアップして取り組みを広げるなどの変化が生まれています。
ただ、ある程度の手ごたえはあったものの、1店舗当たりの寄付流通額は年間100万円ほどが精一杯です。とはいえ、店舗をさらに増やしていくのは現実的ではありません。
そこで、自分の経営者人生の中で社会的インパクトを最大化できる方法を模索した結果、たどり着いたのがOSUSOだったというわけですね。
弊社はソーシャルビジネスの領域では革新的な挑戦をしています。
成功モデルも確立されつつあるので、自分たちの取り組みが社会に影響を与えられるという自信を持って働けるのは弊社の大きな魅力ではないでしょうか。
持続的な経営のためには利益も必要ですが、私たちが重きを置くのはあくまでも社会的インパクトを最大化することです。
実際に、弊社には「おすそわけ」をキーワードとして社会を変えていこうという熱意を持ったメンバーが集まっていますし、今後も利益よりも社会的なインパクトを残したいという方や、おすそわけの文化に共感してくれる方がいたら、ぜひ一緒に働いてみたいですね。
実は、私はゼロから何かを生み出すことには自信があるんですが、組織運営はあまり得意ではないんです(笑)。
だから経営へのこだわりはシンプル。メンバーみんなが生きがいを持って、切磋琢磨しながら働ける環境を用意することくらいです。
また、私には現在取り組んでいる事業と併せて実現していきたい目標がもう1つあります。
それは、社会課題に関心があり、その解決に向けた事業に挑戦したい若者や、他業種の事業を営んでいるものの、社会貢献活動にも参画したい経営者など、社会のために役に立ちたいという思いを持つ人たちを巻き込んで、NPOなどの非営利活動法人として社会課題の解決に取り組むプレイヤーを増やすことです。
そのためのノウハウやシステムは弊社が提供できますし、年間1億円の寄付を集める仕組みも整いつつあります。
例えば経営者の場合、それだけの財源を得られれば、本業と両輪で非営利活動法人の事業に取り組むことも夢ではありません。
NPO事業が最終的に本業に直結すれば、経営者自身や従業員の成長にもつながる好循環が生まれるはずです。
そんな社会の実現に関心がある方がいれば、ぜひ一度お話を聞きに来てください。ともに社会課題の解決に挑む仲間からのご応募をお待ちしています!