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【日本をリードする経営者・井上高司の挑戦】人とのつながりを大切にすることが成長の糧になる

SAMURAI CEO2025

株式会社ラフテルズ
代表取締役

井上 高司

山口県下関市出身。家に質屋を呼び全てを売却し、カバン1つで上京後、帝国ホテルにてフロント勤務。その後レイス(株)に入社。スカウト事業部責任者の1人として立上げから8年間従事。現在までに小売業界を中心に500社以上の組織・人事戦略を手掛け、7社の株式上場にも携わる。1社1社に深く関わりたい。そんな想いから2011年にラフテルズを設立。2016年に独自の成長戦略「ラフメソッド」を考案。現在までに170社以上の企業が導入。多くの企業が急成長を遂げている。信念は「媚びない」。その基盤は所持数1,800冊を超える漫画から作られている。

飲食一筋で業界の新スタンダードを目指す

ラフテルズは飲食業界に特化したコンサルティング会社で、飲食業を営む企業に対する3か年計画のような中長期的なサポートがメイン事業です。

組織と人事の構築を目的としたコンサルティングを行う「ラフメソッド」が中心的なサービスで、覆面調査を行う「ラフ覆面」や研修教育を行う「ラフ教育」、自社開発の評価制度システム「LHR」といったサービスをラフメソッドに組み込む形で展開しています。

その他、採用ブランディングや、コーポレートサイト・採用サイト・採用パンフレットなどの制作も行っています。

飲食業は、一般的に低賃金で休みが少ないなどの劣悪な環境とイメージされがちですが、実際は「おもてなしの心」で溢れていて働く人たちも温かい。

でも人事制度などを見ると、決してホワイトとは言えないものも多くあります。

この原因の1つとして、飲食業は閉鎖的な環境がある意味整っていて、社員は個人で意識を高めていくような自分との戦いになってしまいがちな性質があるということが挙げられます。

その点について、ラフメソッドの導入で本当に競うべきライバルは誰なのかということを明確にして競争原理を作り出します。

これによって社内コミュニケーションの活性化や、序列・ランクの可視化がされることで、自分がどの位置にいてどのようなキャリア形成ができるのかという、社員が明確なキャリアパスを描けるような仕組みを整えることができるようになるというものです。

この競争原理の創出と人事制度のホワイト化を行うだけでも、顧客の売り上げが2~10%増えたというデータもあります。

以前は同じような人事制度を設計するコンサルティング会社と比較されることもありましたが、飲食業界特化で多くの実績があることで、現在では競合他社が存在しないと言っていいほど確固とした立ち位置を獲得できています。

窮地を救ってくれた飲食業界に恩返し

僕は独立する前にいた会社で戦略設計の責任者を任されていて、新規事業の立ち上げも行っていました。

4つ目に立ち上げた事業を分社化するときに社長就任の命を授かったんですが、正直気は進まなかったんですよね。

胃潰瘍になるまで半年間悩んだあげく社長になる決断をしましたが、そこからが苦労のはじまりでした。

もともとの顧客を受け継いで始めた新しい会社でしたが、コンサルは永続的に必要なサービスではありません。

そのため、会社を設立した3年後にはすべての契約が切れてキャッシュがなくなってしまいました。

当時は会社のビジョンを明確にもっていなくて、ビジョンをもたない会社は成長もしなければ応援もされないと、ビジョンの大切さに気づきましたね。

その時は、友人たちからサポートを受けて何とか乗り切ったものの2度目の倒産危機もあって。でもそのときに契約していただいたのが飲食業界のお客様だったんです。

そしてそれ以来、飲食業界に恩返ししたいという想いで事業を行うようになりました。

コロナ禍でも飲食業界をとりまく逆境にかかわらず成長してきましたが、それはひとえにお客様とのつながりを大切にしてきたからだと思っています。

日本はマスビジネスがスタンダードですが、ラフテルズは完全に飲食業界に特化した面展開。コロナ禍で融資を受けるときにも、顧客を飲食業界以外にするのであればOKと言われましたが断りました。

ラフ覆面のように飲食業に必要なサービスを取り入れていることも、お客様に安心感を与えられているんじゃないかと思います。

また、ラフテルズの社員は現在25人いますが、それぞれが月に5店舗以上、一従業員というスタンスで挨拶周りに行くようにしています。挨拶周りの手当は出していますが、こうして社員全員がお客様とのつながりを大事にしていてクライアントとの距離感が近いということも、結果的に成長につながっているのかもしれません。

飲食業界を選ばれる業界に。今後注力するのはナーチャリング事業

すでにお話した通り、これまで2度の倒産危機やコロナ禍のピンチを乗り越え、今は成長期に入っていますが、改めて大事だと思うのは人とのつながりです。

過去のピンチも、友人たちや飲食業界のお客様に助けられたおかげで乗り越えることができました。

現在、外食業界でラフメソッドの導入率は1.5%。これを2026年には5%に拡大し、将来的には10%まで拡げたいという展望があります。

より多くの企業のホワイトな制度づくりや働きやすい環境づくり、そして売り上げ向上にコミットすることで飲食業界に恩返しができればと考えています。

ただ、今やクライアントの数も増えて恩返しという枠だけに収まらなくなってきたので、「飲食業界の『働く未来』のために。」というビジョンを新しく掲げました。

そのビジョンに沿った新しい試みとして、現在新しく「ラフキッズ」というサービスを立ち上げ、注力準備をしています。

飲食業界を選ばれる業界にするために、企業内部の改革を行うだけでなく、将来を担う子どもたちに飲食業をより身近で魅力的に感じてもらうためのサービスです。

このサービスはコロナ禍で何かできないかなと模索していて、当時飲食業界が無駄に攻撃されていたのを受けて、安心感をもたせたいという想いから試験的に始めました。

内容はクライアントの店舗で小学生が3~5人集まって料理を作り、顧客に提供するまでを2時間で体験するというもので、利益度外視の啓もう活動の一環として行っています。

作った料理を保護者に食べてもらうことで、親も一緒に体験できる仕組みです。

まずは関東1都3県から始め、注力展開していきたいと考えています。

最低限の成長意欲をもつ人と働きたい

ラフテルズは「人との繋がりを宝に。」という経営理念をもち、ビジョンには「飲食業界の『働く未来』のために。」、ミッションには「『ラフメソッド』×『組織色』=飲食人事の新スタンダードに。」、そして「Accept(受け止める)」「Conflict(葛藤)」「Rely(頼る)」「Support(応援)」「Celebrate(祝う)」という5つのクレドを掲げています。

これらの考えに伴って、顧問先の新店オープンや働くみなさんの誕生日や昇進などを全力で祝うほか、年4回の査定や新卒1年目で年収100万円昇給実績のある評価制度。マンガ手当や住宅手当のような豊富でユニークな福利厚生、月に1回の社長会(会食)や3ヶ月に1回の合宿のような継続的フィードバックなど、自分と向き合い、自分をさらけ出すラフテルズの文化はできあがってきているかなと思います。

ただ僕は社会人になると共通言語が減ると思っていて、一言で「成長」と言っても、僕は給料が上がることが成長だと思っているけど、人によって変わってきますよね。

なので最低限の成長意欲をもっている人、「おもしろい」「おもしろくない」と「かっこいい」「かっこよくない」の判断基準をもっている人、こういう人がラフテルズにはマッチするんじゃないかと思います。

率先的に活動する主人公たちが成長するような漫画を読んで同じように成長意欲が沸く、なんて人もあっているかなと思います。

学生さんや就職活動をしている方も、なんなら「どうせ辞めるんだ」というスタンスで、自分に合うか合わないかを切り詰めて考える必要はないと思います。

気楽に合うと思った場所で、自分の成長意欲を発揮していってほしいですね。