株式会社ビーウェルインターナショナル 代表取締役社長
大亀 雄平
1982年、兵庫県神戸市生まれ。大阪市立大学在学時に株式会社ビーウェル創業。関西を中心に学生マーケティング・プロモーション事業などを幅広く展開し、同時に数多くの企業の役員を務める。これまで約2万人の大学生と関わり、それぞれにとって成長できる環境を用意している。株式会社ビーウェル 代表取締役社長。株式会社パンスール 専務取締役。ZENオフィス株式会社 取締役。
学生たちを「社会に通用する人材」に育てるべく起業
学生時代にある1人の経営者のカバン持ちを経験して、学生のときに自分で起業したのが元々経営者としての第一歩。学生のとき、就職活動をしようとしたけど、行きたい会社もなく、自分で、自分の好きな道を、好きな仲間と選んでやりたいっていう想いが強くて、自分で起業する道を選びました。
自分の1番の強みは何かなって思ったときに、当時大学生だったので、「大学生の気持ちはわかる」というところから、大学生のマーケットにフォーカスした事業を始めようと思い、家庭教師の人材派遣事業を始めたのがはじまりです。
学生のプロモーション、マーケティングという事業を進めていきながら感じたのが、「学生を教育したい」「もっと大学では教えてくれないことがいっぱいあるんじゃないか」「大学生と向き合う事業をしたい」と思いう思い。そこから、学生起業塾をしたり、学生就活支援をするフリースペースの経営にシフトしていきました。
学生と向き合う仕事で、ナンバーワンの会社にしたくて、年間150本近くのイベントをしながら西日本のあらゆる大学生をこのスポットに集客し、学生が聞きたい色々な情報や学びを提供する場の提供を事業としました。
優秀な韓国人学生と日本企業をつなぐ新たなプラットフォーム
「韓国の優秀学生層が日本就職を成功させる窓口を作ってあげたい」と考え、2019年には子会社としてのビーウェルインターナショナルと、現地法人であるビーウェルコリアを設立しています。
きっかけは、韓国で行われた某人材系企業の日本就職採用イベントに参加し、30名ほど学生と話したことです。日本語の堪能さ、働くことへの意欲の高さに衝撃を受けました。優秀なのに、就職率60%という就職難の韓国社会の厳しい現実を目の当たりにしました。日本で18年以上学生と企業をつなぐビジネスを行なう中で、韓国の学生が日本の企業で活躍する可能性を感じたんです。日本の企業にとっても優秀な学生の採用は重要な課題です。
実際に現地のいろいろな大学を訪問してみたところ、大変優秀な学生さんが非常に多く、「英語ができる人は海外就職を目指すのがスタンダードになりつつある」「大学生がスキルアップに熱心」という状況を見て、事業としての可能性を見出しました。ビーウェルコリアでは約5,000人の韓国人学生が登録している「日本就職スクール」を経営しており、オフラインで授業を開いたり、面談や日本語の練習をしたりしています。
2021年3月には「KORECオンライン」というWebサービスをオープンさせましたが、「完全オンライン採用で本当に決まるのか」「メディア掲載してもらえるだろうか」といった点に非常に不安がありました。資金がショートしかけて出資も受け始めていましたし、営業マンをたくさん雇えるわけでもない状況ながら、垂直立ち上げで200社の掲載を目指していました。
1年で掲載企業数200社を突破
1年間で500商談をしたと思うと自分でも驚きですが(笑)、当初目標としていた「垂直立ち上げで200社の掲載を決める」を達成できた形です。
売上では粗利の概算で、7,000万円くらいのインパクトがありました。200社に掲載いただいたうちの約100人の内定が成立し、その成約料が売上につながった形です。初期掲載の費用は無料にしていたので、掲載料は含んでいません。掲載社数が少なければ学生の登録会員数も伸びてこないので、このバランスをうまく成立させられるかが一番心配だったのですが、おかげさまで登録者数もガンガン伸ばせています。
「グローバル採用最大手」の企業がいない状況なので、そこを獲りにいくことが現在のwillです。コロナ禍は大変でしたが、おかげで「オンラインで面接してオンラインで働ける」という時代になりつつあることは、グローバル人材にとっても非常に追い風で、採用革命が起こったことを実感しています。
日本語が堪能な高度グローバル人材がたまたま韓国にいたので韓国からスタートしましたが、コロナ禍が落ち着いたら台湾拠点もオープンする予定です。その先はアジア諸国での展開も考えています。サブカルチャーの人気や安全な社会というのは今までの日本のレガシーでもあるので、日本就職に興味を持ってくれ、かつ日本語が喋れる優秀層を一気に採りきりたいです。
今後の日本において「人材不足」は絶対的なテーマになってきます。特にIT人材の枯渇は憂慮されており、経済産業省の試算によれば、「2030年までに平均値で45万人、最大で79万人不足する」とも言われています。
日本の若者に刺激を与える活動
英語も日本語も操ることができ、グローバルな情報を取りに行ける韓国人学生の子たちの生き様や広い視点は、日本の学生たちにも必ず刺激になると思っています。親会社のビーウェルでは日本人学生の就職活動をやっていますが、「これからはグローバル人材と同じ土俵で戦うんだよ、隣の就活生を見ている場合じゃないよ」ということを知ってもらうために、両国の学生さんのオンライン座談会なども頻繁に開催しています。