株式会社ラフール 代表取締役社長
結木 啓太
宮城県仙台市出身。営業支援会社などを経て、2011年に株式会社ラフールを設立。代表取締役社長に就任。 2019年、組織改善ツール『ラフールサーベイ』を提供開始し、サービスローンチ約4年で有料導入企業数 累計1,700社を突破。また2023年に、ミライ適性検査『テキカク』を提供開始。組織と人材のビッグデータによる分析力で企業の強みを伸ばし、人的資本/ウェルビーイング経営支援を行う。経済産業省「令和5年度ヘルスケア産業基盤高度化推進事業」研究会部会メンバーとして、省庁との取り組みにも参画。
メンタルヘルスの課題やニーズをきっかけに、日本の大きな社会課題を解決するべく起業
2011年に株式会社ラフールを創業。創業前は、個人情報を中心とした情報セキュリティのコンサルティング会社の役員として勤めておりました。当時は情報漏洩対策と言えば「PCを置き忘れないようにする」などの簡単な施策が主流でした。SNSの利用が広がっていく中で、SNS上での情報漏洩や社内の告発が発生。そういった情報漏洩を防ぎたい企業様から依頼を受けて、情報セキュリティのコンサルティングを実施していました。
当初は意図的な情報漏洩があった場合、それをした個人を特定することで、情報漏洩の防止を図っていました。しかし「特定されても良いから意図的に情報を漏洩する」という社員もいました。そういった社員の様子やSNSの投稿を見て「社員の精神面が良好ではない状態にあるのではないか」と考えたのです。その時ちょうどコンサルティングをしていた企業様からも「社員のメンタルヘルスをケアしていくことで関係性を良くしていきたい」と依頼を受け、メンタルヘルスケアに取り組む意思決定をしました。当時はまだ「メンタルヘルス」という言葉すら浸透していなかったものの、今後はより大きな社会課題となると思い、自ら創業することにしたのです。
そして2015年12月、従業員数50人以上の事業所に対してストレスチェックが義務化され、当社もストレスチェックサービスを提供しました。当社のこのサービスはストレスチェックの57項目の質問に、従業員の特性を確認するための10項目を加えることで、ストレスの原因となる課題を見つけることが目的のものです。しかし、ストレスチェックによって対策を立てやすくする仕組みのつもりでしたが「必要最低限の義務化を果たせればいい」との企業様からのご意見も多く、世の中のニーズと合っていませんでした。
時代の変化を捉えた戦略でプロダクトは急成長を遂げる
ストレスチェック法制化を皮切りに、国が「健康経営」や「働き方改革」を後押しするようになりました。そして、企業担当者様も「57項目のストレスチェックを行い、ストレス量だけを追っていっても意味はない。何を要因として分析をしていけば本人の状態を把握できるのか」という、本質的な課題に気付き始めました。そこで出た課題を解決していけば、社員は活き活きと働くことができます。さらに企業にとっては離職率の抑制にも繋がり、労働生産性が高まるはずです。本質的な意味で「使ってよかった!」と思ってもらえるよう、大学や各所専門家と共同で研究開発したのが組織改善ツール『ラフールサーベイ』です。提供から4年が経過した今、累計導入社数が1,700社を越え、多くの企業様の経営課題解決に寄与しています。
『ラフールサーベイ』は、社員の精神状態だけでなく、身体の状態やエンゲージメント(自社への愛着度)やハラスメント、離職リスクなどが可視化できます。そして、社員の健康状態に合わせた改善立案〜対策をワンストップで提供するサービスです。サービスの特徴としては、プロダクトアウトでサービスをつくり上げていることに加え、企業側だけではなく、社員個人のセルフケア意識を高めるためのアプリを用意している点です。
昨今、人的資本経営と呼ばれる「人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」が注目を集めています。当社は『ラフールサーベイ』を活用して組織の課題を可視化し、改善の手助けが可能です。また、弊社の第二の事業の柱となる、ミライ適性『テキカク』によって、企業の人的資本経営を支援しています。『テキカク』は、早期離職の抑制や、今の組織・目指す未来の組織で活躍できる人材かどうかを把握するサービスです。『ラフールサーベイ』で得られる、変革しづらい組織風土や価値観のデータなどと適性検査の項目を掛け合わせることで、従来のサービスよりも精度の高いアウトプットを実現しました。今後は採用市場にも展開し、当社としても第二創業期として事業を拡大していきます。
社会課題を解決し、働く人の笑顔を増やしたい
日本の労働市場には、3つの大きな課題があります。まず1つ目は、生産年齢人口の低下です。生産年齢人口は1995年、総人口は2008年をピークに、今後それぞれ減少傾向にあります。企業は、一人一人の労働生産性を高めることが急務になっており、まさに人的資本経営が求められています。2つ目は、日本は幸福度が低い傾向にあることです。コロナ禍に始まった大きな外的要因により「ウェルビーイング」は近年トレンドワードになりました。しかし日本の幸福度は、146カ国中54位です。主要7カ国(G7)の中では、最下位となりました。職場や私生活の幸福度を高め、社会的にも満たされた「ウェルビーイング」な状態でこそ、活き活きと働けるようになり、生産性も高まると考えています。最後の3つ目は、日本は職場のメンタルヘルス対策が遅れていることです。日本では、2008年のうつ病性障害の疾病費用は3兆901億円と推定されています。このうち2兆円超が、就業者の生産性低下による損失と非就業による損失です。当社創業のきっかけともなるメンタルヘルス課題を解決し、人的資本とウェルビーイング経営の土台を整えることが必要だと感じます。
これらの課題とともに、我々がチャレンジする領域は今後さらに市場が拡大します。人的資本やウェルビーイング経営の実現の重要度が確実にあがっていく中で、当社はメンタルデータテック®️(メンタルヘルス×テクノロジー)という分野から、組織課題の可視化や解決策の提案を行う予定です。また、企業成長や安定経営を本気で目指す経営者や人事の方々を、本気で支援していきます。 「企業は何と向き合い、何をすべきか」ということに、真剣に取り組みます。その実現には、経営者や人事の意思決定やアクションに併せて、従業員一人一人の行動に変化をもたらすことも、重要なポイントです。ラフールではアプリケーションを活用し、一般的に抜けがちな従業員のセルフケアが促進されるサービスの展開も進めています。
メンタルデータテック®︎は人類を救う鍵となる
さらに人的資本とウェルビーイング経営に必要な、多種多様なクラウドサービスとの連携を実現します。適切なソリューションをAI解析するプラットフォームを構築することで、国内のみならず、世界中の企業の多様なニーズに応えていくのです。メンタルデータテック®️の貢献は、今後ますます重要性を増していき、将来人類を救う鍵となっていくと確信しております。全ての企業様に真摯に向き合うことで「企業様が素敵な変革を遂げて頂きたい」と我々は感じています。メンタルデータテック®︎を通して、企業と働く社員がワクワクし、毎日を笑顔でいられるような会社でありたいです。