ZVC JAPAN株式会社
代表取締役会長 兼 社長
岐阜県出身、明治大学卒。一般社団法人日本スタートアップ協会顧問。
2022年4月にZVC JAPAN 株式会社 (Zoom Communications, Inc.の日本法人、以下Zoom)に入社。以来、Zoomの日本展開における成長を牽引。新卒でIBMに入社し、大手お客様のCustomer Executiveを経て、IBM Business Consulting執行役員を歴任。24年間勤めた。2012年からは日本オラクル 専務執行役員として大手企業の支援を行うかたわら、クラウド型アプリケーションビジネスの立ち上げを行った。2020年2月からはニューヨーク証券取引所に上場しているYextの日本法人の取締役社長兼COOとしてビジネス拡大を推進。その後現職に至る。『日本をより元気に』を目指してインバウンドビジネスの拡大を支え、日本の企業の国際競争力向上に邁進している。
Zoomは多くの日本のユーザーにご利用頂いていて、ビデオ会議ツールとしての基本的な機能はよく知っていただいています。ただ実はそれ以外にもZoom PhoneやZoom Chat、 Zoom Docsなど非常に多くのコミニュケーションやコラボレーションに必要な機能やサービスを提供しています。
「最も知られているけど、最も知られていない会社」と自ら話すこともありますが、Zoomは社名とビデオ会議は広く認知されている一方で、それ以外の事業や機能をご存知でない方も多く、本当にいろいろなことができるんです。このように、単一のプラットフォームで様々なことができるようにすることにより、ワークフローが大きく改善・効率化されます。
例えば、スマートフォンには数十から、多い人では何百ものアプリが入っており、目的に合わせて様々な使い方をすることができます。スマートフォンの登場により携帯電話が単なる電話でなく、アプリケーションをたくさん動かすコンピューターのような存在になったと言えるでしょう。
これのさらに先の現象がZoom上では起きていて、例えばZoomで打ち合わせをしたらその文字起こしがそのままZoom上で行われる、さらに打ち合わせ相手とのチャットや文字起こしデータの編集、コンテンツ生成もできます。
従来は、それぞれ別のアプリやソフトウェアを使って、切ったり貼ったり、保管したりということをしていましたが、単一のプラットフォームで実行可能にすることによって、ワークフローの中断が減り作業が大きく改善するのです。
【編集部メモ】
このインタビューもZoom Mmeetingsで行われ記事執筆工程の一部でZoom Docsを活用しています。
我々は、Zoomのことを「人と人をつなぐ AI ファーストのプラットフォーム」と称してより多くの方にソリューションをお使いいただけるようご提案しています。
Zoomではテクノロジーはエンベデッド(組み込み)するという考えを軸に、生成AIを搭載したZoom Docsをはじめとする各種機能を、有償版ユーザーには追加費用無しで提供しています。
テクノロジーのエンベデッドについてもう少しかみ砕いてお話しすると、例えばスマートフォンに入っている”コンデンサー”の値段って課金されていませんよね。ユーザーはコンデンサーがいくらかということを気にしていません。
このように、”コンデンサー”というテクノロジーは、スマートフォンの中にエンベデッドされているため、そこに対して課金をするというのが一般的ではなくなっているのです。
生成AIにも同様のことが起きると考えており、今後AIが当たり前の時代が来た時にはあくまでツールやアプリケーションにエンベデッドされるものになっていくと予想されます。
そのため、他社だと例えば生成AIを利用するのに2,000円~3,000円くらいかかりますが、Zoomではよりみなさまに優しく使ってもらうことにフォーカスして有償版ユーザーには追加料金を無料で提供しています。Zoomのカルチャーは「Delivering Happiness(すべての人に幸せを届ける)」です。より多くの方にAI Companionを手軽にご利用いただき、仕事が楽しく効率的になるようサポートしたいと思います。
Zoomではお客様の声を非常に重視しています。お客様からのフィードバックに基づいたAIファーストの製品開発を現在進めており、提供開始までのスピードもとても速く、常に進化し続けています。また、ビジネス以外にも行政サービスなど、様々なシーンでZoom製品はご利用いただけます。日本では自治体との取りくみにも注力しており、将来的に社会を支えるインフラとなることを目指しています。今後は医療や教育業界向けのソリューションの展開も予定しており、日本の皆さまには、今後もZoomのプラットフォームの広がりに期待していただきたいですね。
Zoomの創業者兼最高経営責任者であるエリック・ユアンは、「2035 年までに相手の飲んでいるコーヒーの香りが伝わり、ハグできるような温度感の伝わるコミュニケーション体験を実現したい」と述べています。
このようなビジョンや根底にある信念が実際のサービス開発にも反映されています。
例えば、他社のビデオ会議ツールではとにかくビデオ会議機能を提供してそのうえで他の広告サービスなどを使ってもらうということにフォーカスしています。
一方で私たちZoomが目指しているものは全く違います。
Zoomでは、例えばビデオ会議であれば、コミュニケーション手段としての品質を突き詰めることに重きをおいているのです。
例えば、ご覧ください。
ーーー下垣氏が手をたたいてみせる
私が手をたたいた音は聞こえますか?聞こえないかと思います。
ーーー実際に音は一切聞こえず
※当インタビューはZoom Meetingsを通して、ビデオ会議形式で行われています。
今お見せしたように、Zoomではミーティングの会話に関係のない雑音をシャットアウトする機能を備えています。その他にも、例えばインターネット回線が混雑していても、今こうしてお話ししているような高い品質で話すことができます。
他社のビデオ会議ツールだとそうはいきません。雑音が気になって集中できなかったりWi-Fiが混雑していると映像や音声がとぎれとぎれになってしまいます。
このように、コミュニケーション手段であるビデオ会議としての品質を突き詰めるということをZoomでは行っているのです。
そしてこのような取り組みが、エリック・ユアンの言う「2035 年までに相手の飲んでいるコーヒーの香りが伝わり、ハグできるような温度感の伝わるコミュニケーション体験を実現したい」というビジョンに結びついていると、私は信じています。
私は仕事において大切なのは、信念と仲間であると考えています。
まずは信念ーーー。
何の信念に基づいて仕事をするかってすごく大事なことだと思っていて、何か壁にぶつかった時って必ずそこに戻るわけですよ。
例えば、私はスタートアップ協会の顧問を務めている背景から、たくさんの経営者とお会いしますが、やはり信念を持って邁進している経営者はブレないし、成功します。
日本スタートアップ支援協会 代表理事である岡 隆宏氏が、12回のピボットで8年がかりで上場を果たしているように、ピボットを繰り返すことになってもやり続けられる圧倒的な”エネルギー”や”パッション”というのは成功する経営者が共通して持っているものです。今までのキャリアを通して、私自身もたくさん失敗を経験してきました。ただ、どんなに難しい仕事でも真摯に頑張ってきたことが、今の自分を形作っています。
次に仲間も非常に大切です。
例えば、社内の仲間であったり、社外の仲間だったり。
たくさんの人と会って話すことは多くの学びがあり、人生を豊かにしてくれます。私は人との繋がりをとても大切にしており、実際に今までの転職はいずれも人の縁で入社するなど、人に助けられた人生でした。仲間がいることで互いに刺激を受け、切磋琢磨し成長をすることもできると思います。人は平等だが、人生は不平等。そんななかで唯一等しくあるのが時間です。その時間を誰と過ごすかは私にとって非常に重要です。
最後に健康です。
若い人には軽視されがちですが、長く働くロングタイムバリューという観点で考えると、仕事の中身がどうであろうと健康ってすごく大切だと考えています。
仕事はマラソンに例えられて、42.195kmを走り続けられるかが大切です。
つまり、若い経営者が100mを一生懸命早く走れるんですと言っても100mを走ったらどこかにいなくなってしまう人とは仕事できないわけですよ。改めて健康は成功に欠かせない大切な要素です。
ただ付け加えると人間の限界、一番大変なのは、100m走ではなく400m走と言われています。
先ほど紹介したような圧倒的な”エネルギー”や”パッション”を持っている人は、42.195kmを400m走のペースで駆け抜けられます。
最後に、やりたいことがあるならすぐに行動をすればいいと思います。
よくスタートアップをを準備している人たちから「こんなことやりたいんですけど、どうしたらいいですか」とご相談いただきます。
その際いつも思うのですが、「どうしたらいいですか?」ってやりたいことがあってやるべきことがあるんだったらすぐやればいいじゃん。と。
実際、行動に移した人は、やりながらたくさんの学びを得ています。
結局多くの成功者も、取り組んでみたうえで、失敗しないように試行錯誤した結果の”成功”なんですよね。
やりたいことがある、情熱がある、なら今すぐにやる。それが非常に大切です。